今回恐縮にも書かせていただきます。
春が来た春が来たどこへ来た?
(あなたの目と鼻にです!)
(はいっ!)
春眠暁を覚えず――
昔の中国のえらいひとはそう言いましたが、昔の日本の女性は早起きだったようで、春はあけぼのとのことだそうです。それとも「寝ぼすけには関係あるまい」という意識でもあったのでしょうか。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。*1
清少納言の枕草子ではこうあります。春なのに梅も桜も菜の花も筍も出てきません。そして同じ世代のライバルである紫式部は
月は有明にて、光をさまれるものから、かげけざやかに見えて、なかなかをかしきあけぼのなり。*2
同じくお団子も桜も出てきません。山際の明るみ、たなびく雲に光があたる。月がやわらかに見える。をかし。春だそうです。
時代は下って江戸時代。これを踏まえ、
弥生も末の七日、あけぼのの空朧々として、月は有明にて、光をさまれるものから、不二の峯かすかに見えて、上野谷中の花の梢またいつかはと心ぼそし。*3
と松尾芭蕉は奥の細道の千住旅立ちの場面で述べている。同じものでももののあはれ、詫び寂びと感じるものは人それぞれです。
かくいう私は、白くなりゆく山際をみると、「今日は花粉強そうやな…PM2.5とか、黄砂とか…」
と考えてしまいます。なにやら目や鼻がおかしい。
すっかり春になりましたね。
いかがお過ごしでしょうか。
先ほど引用した奥の細道の続きの部分ですが、有名な句、
行春や鳥啼魚の目は泪
という句が読まれますがこの季節、自分の場合花粉症で目に涙という感が強いです(つらいです)。
最近のお薬は飲むと眠くなりにくいとはいえ、やっぱり眠くなってしまうこともあります。昼過ぎに春眠しないように……。
今年も花粉症の人にはつらい時期になってまいりましたが、マスク等で自衛しながら、気張ってやっていきましょう。
よろしくお願いいたします。